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【中国生成AI研究①】
中国では、AIが買い物を手伝いはじめた。
アリババの事例と上海の調査から

佐藤 大貴佐藤 大貴 公開 2026.10.24更新 2026.10.24
【中国生成AI研究①】中国では、AIが買い物を手伝いはじめた。アリババの事例と上海の調査から
この記事のポイント
  • アリババは2026年5月、AIアシスタントの千問と淘宝・天猫を全面的につないだ。バイトダンスと京東もAIでの買い物に力を入れている
  • 上海の消費者調査では、AIでの買い物を試した人は84.56%。一方でAIが正確に選べていると答えた人は16.06%で、注文まで任せることにも慎重だった
  • 米国はAIの入口も買う場所も分かれている。日本も米国型に近く、ゆっくり進むと見ている。とはいえ、買い物のエージェントが主導権を握る場面に、いまから備えておきたい

こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。AIが広がって、ウェブマーケティングは取るべき戦略も、実行のやり方も変わりました。アースダイバーは、その新しい前提で戦略を考え、実行する仕組みまでつくる会社です(ご相談はこちら)。

生成AIについては、中国が日本より進んでいる面があります。総務省の2026年版『情報通信白書』によると、日本・米国・ドイツ・中国で行ったアンケートで、生成AIを使ったことがある人は中国で93.6%、日本で58.8%でした(INTERNET Watch)。そこで、中国の生成AIの動きを追いかけて、日本の企業にとっての意味を考えるシリーズ「中国生成AI研究」を始めます。

第1回のテーマは、AIでの買い物です。2026年に入り、中国では、AIに話しかけて商品を探し、そのまま注文する買い物が広がりはじめています。では、使った人はどう感じたのか。上海の消費者団体が2026年6月に公表した調査では、AIで商品を選ぶ機能を試した人は84.56%。一方で、AIが商品を正確に選べていると答えたのは16.06%にとどまりました(上観新聞)。

この記事では、中国の事例とこの調査を読み解き、米国とも比べながら、日本はどうなるのかを考えます。先に、私が読み取ったことを3つ書いておきます。

  1. 中国では、ネット大手が自社のAIと通販をつなぎ、AIでの買い物が広く試されている
  2. ただし消費者は、比べるのはAIに任せたいが、注文まで任せることには慎重。推薦の正確さもまだ信頼していない
  3. 日本は米国型に近く、ゆっくり進むと私は見ている。とはいえ、AIが買い物を左右する場面には、いまから備えておきたい
目次
  1. 1中国の生成AI:アプリの利用者は毎月約5億人
  2. 2アリババ:AIと通販サイトを全面的に連携
  3. 3上海の調査:8割超がAIの商品選びを試し、「正確」は16%
  4. 4消費者の期待:比較はAIに任せたいが、注文はまだ慎重
  5. 536Krのテスト:AIが予算に合わない商品を提示
  6. 6普及の背景:中国で早く試された3つの理由
  7. 7上海の消費者団体:AIの忠実義務を法律で定めるよう提言
  8. 8米国:AIと購入・決済の担い手が分かれる
  9. 9私の見立て:日本は米国型に近く、ゆっくり進む
  10. 10企業の備え:AIが買い物を左右する場面への4つの準備
  11. 11調査の概要:中国語・英語・日本語の、30件の資料を確認
  12. 12数字の読み方:3つの注意点
  13. 13まとめ:日本はゆっくり進む。とはいえ、備えはいまから
  14. 14よくある質問:中国の生成AIと日本への影響
マーケティングの課題を、コンサルタントに相談する →

中国の生成AI:アプリの利用者は毎月約5億人

まず、中国の生成AIの状況です。調査会社のQuestMobile(クエストモバイル)によると、2026年6月に生成AIのアプリを使った人は約4.99億人。前年同月から85.4%増えました(China Innovation Watch)。8月には約5.37億人に増えています(Hello China Tech)。

図1:中国の主な生成AIアプリの月間利用者数(2026年6月)

上位4つのうち、新興企業のDeepSeek(1.30億人)を除く3つは、ネット大手のAIです。利用者数は、観点網がまとめたQuestMobileの数字です(観点網)。3つのAIは、それぞれ親会社のサービスとつながっています(Hello China Tech)。

  • 豆包(ドウバオ):バイトダンスのAI。3.82億人。動画アプリの抖音(ドウイン、TikTokの中国版)とつながる
  • 千問(Qwen):アリババのAI。1.67億人。通販サイトの淘宝(タオバオ)や、決済のアリペイとつながる
  • 元宝(ユエンバオ):テンセントのAI。0.50億人。メッセージアプリのWeChatとつながる

中国のテック業界を分析するニュースレター「Hello China Tech」のポー・ジャオ(Poe Zhao)氏は、千問がDeepSeekを抜いて2位になったのは、主に親会社の集客力と販促費によるものだと見ています(Hello China Tech)。

アリババ:AIと通販サイトを全面的に連携

なかでも、AIでの買い物にいちばん力を入れているのがアリババ集団です。2026年1月に、千問と淘宝をつなぐと発表しました。アリババによると、2月末までに約1.4億人が千問で初めてAIでの買い物を体験しました(鈦媒体)。

5月11日には、千問と淘宝を全面的につなぎました。できるようになったのは、次のようなことです(アリババ)。

  • 会話で探して注文する:AIが予算や好みを聞き返しながら、40億点を超える商品から絞り込み、そのまま注文できる
  • AIでの試着:自分の写真で、服を着たときの姿を確かめられる
  • 割引の計算:会計のときに、いちばん得になるクーポンの組み合わせを示す
  • 自動注文:30日間価格を追い、目標の価格まで下がれば自動で注文する
図2:アリババ「千問×淘宝」で、AIが担うようになった買い物の流れ

キーワードで検索して、一覧から自分で選ぶ。アリババは、この買い方を「会話で頼んで、AIが選ぶ」買い方に変えようとしています。

ほかのネット大手も、6月の大型セール「618」に合わせて動きました。618は、通販大手の京東集団(JD)が自社の記念日の6月18日に始めたセールで、現在はほかの通販サイトも参加しています(数英)。

会社AI618前後の動き
アリババ千問淘宝と全面的につなぎ、会話のまま注文できるようにした
バイトダンス豆包商品選びを手伝う機能を加え、抖音の通販とつないだ(虎嗅)
京東JoyAI618の期間中に、対話した利用者が累計300万人を超えたと発表(21世紀経済報道)

上海の調査:8割超がAIの商品選びを試し、「正確」は16%

では、使った人はどう評価したのか。上海市の消費者団体である上海市消費者権益保護委員会(以下、上海市消保委)が、618の時期のネット通販について、WeChat公式アカウントの利用者に聞きました。有効回答は4,308件です(上観新聞)。

AIで商品を選ぶ機能を試した人は84.56%。ただ、評価は厳しいものでした(站長之家)。

図3:AIで商品を選ぶ機能を試した人と、回答者の評価
回答割合
AIが商品を正確に選べている16.06%
推薦が自分の要望に高く合っている24.21%
安いものを探したいのに、高い商品を優先して出してくる38.79%
高い商品と安い商品が混ざり、自分で絞り込む手間が大きい29.71%
見た商品やカートの商品を、繰り返し推薦される58.33%

※24.21%と58.33%は、AIに限らず、通販サイトの推薦全体についての回答と読めます。割合が回答者全体のうちか、AIを試した人のうちかは、公表されている記事からはわかりません。

この数字を読むときは、誰が答えたかに注意が必要です。調査は上海の消費者団体がWeChat公式アカウントで行ったもので、回答者の多くは上海の人だと考えられます。上海の住民1人あたりの可処分所得は、2025年に9万1,987元(約217万円)。中国の31の省・自治区・直轄市で1位で、全国平均の約2.1倍です(36Kr)。※この記事では、1元=約23.6円(2026年10月16日、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)で換算しています。中国全体で見ると、生成AIを使う人は2026年上半期に人口の5割を超えたところです(中国互聯網絡信息中心、新浪)。そのなかで上海は「世界人工知能大会」の開催地で、街の中でもAIの案内所などに触れる機会が多い都市です(上観新聞)。

図4:上海の消費者は、中国の中でどんな位置にいるか

84.56%は、中国の中でもAIに触れる機会が多い人たちの数字として読むのが妥当です。その回答者でも、AIが正確に選べていると答えたのは16%でした。

消費者の期待:比較はAIに任せたいが、注文はまだ慎重

一方で、期待は大きいことも、同じ調査からわかります。AIが買い物を最初から最後まで手伝う仕組みに「とても期待している」か「注目している」と答えた人は、合わせて85%を超えました。ただし報告は、消費者が任せたいのは絞り込みや価格の比較で、AIが自分で注文することにはまだ慎重だとまとめています(上観新聞)。

中国の経済紙、毎日経済新聞が618の前に行った調査も、同じ傾向でした。情報の整理や価格の比較をAIに期待する人は65〜70%。購入の提案や自動での注文を期待する人は、37〜48%にとどまりました(21世紀経済報道)。

図5:消費者がAIに期待することと、まだ慎重なこと

慎重になる背景は、上海市消保委が4月に出した別の報告からもうかがえます。AIでの買い物について、個人情報を心配する人は64.22%、AIの判断の正確さを疑う人は62.53%でした(文匯報)。

36Krのテスト:AIが予算に合わない商品を提示

正確さの課題は、メディアのテストでも見えています。中国のテックメディア36Krが618の商戦期に、千問と豆包に同じ4つの買い物の相談をしたところ、次のような結果が出ました。このテストは、AI関連サイトのStellagentが紹介しています(Stellagent)。

AI相談した内容出てきた商品
千問予算8,000元(約19万円)で、子どもを撮るカメラ53元(約1,250円)のおもちゃのカメラ
豆包3,000元(約7万1,000円)以下のノートパソコン3,739元(約8万8,000円)や4,499元(約10万6,000円)の商品(「もっと見る」を押したとき)

こうした商品が混ざると、利用者は自分で絞り込み直すことになります。調査で29.71%が挙げた「自分で絞り込む手間が大きい」という不満と重なります。

普及の背景:中国で早く試された3つの理由

評価はまだ厳しいのに、なぜ中国では、ここまで早くAIでの買い物が試されたのか。私は、理由は3つあると考えています。

1. AIと通販と決済が、同じグループの中でつながっている
アリババは千問と淘宝を持ち、関連会社のアント・グループがアリペイを運営しています。商品の情報から決済、配送までがつながっているので、AIが買い物を最後まで終えられます。

2. 試してもらうために、大きなお金をかけた
アリババは春節(旧正月)に30億元(約710億円)のキャンペーンを行い、千問から淘宝の即時配送で注文するときに使えるクーポンを配りました。テンセントも、元宝を通じて10億元(約240億円)分のお年玉を配っています。2月末までの約1.4億人という数字にも、このキャンペーンが関わっていると私は見ています。ただし、千問の1日の利用者は2月上旬のピークの7,350万人から、月末には約3,100万人に減りました。元宝も月末には約700万人と、1月並みに戻っています(Hello China Tech)。お金で呼び込んだ利用者が、そのまま残るとは限りません。

3. 通販への流入を、自社にとどめたかった
中国では、商品を探す場が、抖音や小紅書(シャオホンシュー、RED)などの動画やSNSのアプリに移りつつあります。中国メディアの鈦媒体は、アリババの狙いを、検索から購入までを自社の中で完結させ、流入を外に出さないことだと分析しています(鈦媒体)。

上海の消費者団体:AIの忠実義務を法律で定めるよう提言

上海の調査で、私がいちばん大きな問題だと感じたのは、「安いものを探したいのに、高い商品を優先して出してくる」と答えた人が38.79%いたことです。AIがすすめるのは、利用者にとっていちばん良い商品なのか。それとも、プラットフォームが売りたい商品なのか。

上海市消保委は4月の報告で、AIエージェントが利用者の利益から外れるおそれを指摘しました。そのうえで、上海市消保委の唐健盛副秘書長が、消費者権益保護法を改正してAIエージェントの利用者への忠実義務を明確にするよう提言しています(文匯報)。6月の報告でも、消費者の要望を優先するよう、アルゴリズムの見直しを求めました(站長之家)。

AIで買い物をする人が増えるほど、AIの推薦を信頼できるかどうかが、どの商品が売れるかを左右するようになると私は考えています。

米国:AIと購入・決済の担い手が分かれる

ここからは、米国と比べてみます。米国でもAIでの買い物は広がっていますが、その仕組みは中国と違います。オランダのテックメディア、The Next Web(ザ・ネクスト・ウェブ)は、ChatGPTやAmazonなど欧米のサービスでは、購入の手続き・決済・配送が別々のアプリやシステムで処理され、AIが購入までを一続きで終えにくいと指摘しています(The Next Web)。

図6:中国と米国の、AIでの買い物の仕組みの違い

主な会社の動きは、次のとおりです。

  • OpenAI:2025年9月に、ChatGPTの中で注文まで終えられる機能を始めた。ところが2026年3月、この機能では「求める柔軟さを提供できなかった」と説明して方針を変え、購入は各店のサイトに任せて、商品を探す手助けに力を入れるとした(TechCrunch)
  • Google:2026年1月に、ShopifyやWalmartなどと共同でつくった、AIでの買い物の共通の仕組み「Universal Commerce Protocol」を発表。AIモードやGeminiから、米国の小売店で直接買えるようにすると説明した(TechCrunch)
  • Amazon(アマゾン):アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が2026年2月の決算説明会で、AIアシスタント「Rufus(ルーファス)」を2025年に3億人が使い、使った人は購入を完了する割合が約60%高かったと説明(PYMNTS)。ただしThe Next Webは、商品から配送まで自社で持つAmazonのRufusも、まだ検索に近い例として挙げている(The Next Web)

米国の消費者も、お金で左右される推薦には厳しい見方をしています。米国の成人2,180人に2026年2月に聞いた調査では、75%が「ブランドがお金を払って自分のAIエージェントに影響を与えていると知ったら、そのブランドへの信頼が下がる」と答えました(Quad・The Harris Poll)。

中国米国日本
AIの役割探す・比べる・注文まで探す・比べるが中心。注文は各店のサイトとAIの中の両方探す・比べるが中心。一部の通販サイトの中で注文まで
主な担い手アリババ・バイトダンスなど。AIと通販が同じグループChatGPT・Google・Amazonなどに分かれる楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどに分かれる
主な調査結果上海で84.56%が試し、正確と答えたのは16%75%が、ブランドがお金でAIに影響を与えると信頼が下がると回答AIで買い物をしていない人のうち、確認なしの自動購入まで任せられる人は1%(Visa調査)

私の見立て:日本は米国型に近く、ゆっくり進む

では、日本はどうなるか。私は、日本は米国型に近い形で進み、そのスピードも中国よりゆっくりになると見ています。理由は3つです。

1. 日本の消費者は、買い物に慎重
Visaが2026年6月に、キャッシュレス決済を使い、生成AIを月1回以上使う20〜60代の4,120人に聞いた調査があります。AIで買い物をしていない人に、懸念が解消された場合にどこまで任せられるかを聞くと、確認なしの自動購入まで任せられると答えた人は1%でした。安心して使える条件も、「自分で内容を確認しながら使う」が50%でいちばん多くなっています(ネットショップ担当者フォーラム)。AIで調べて比べても、最後は自分で確かめて買う使い方が中心になると私は見ています。

2. 消費者を守るルールがあり、企業も強引な販促に慎重
日本では2023年10月から、広告であることを隠した宣伝が景品表示法で規制されています(消費者庁)。2026年7月には、内閣府の消費者委員会の専門調査会でAIエージェントが取り上げられました。委員が、AIエージェントが利用者に知らせないまま、アフィリエイト契約を結んだ店で買わせる仮想の事例を示し、LINEヤフーにも推薦の中立性について質問が出ています(消費者委員会)。大きなお金をかけて一気にAIで買わせる中国のやり方は、日本の企業のコンプライアンスの感覚とは合いにくいと思います。

3. 買い物の場が、いくつもの会社に分かれている
日本の物販のネット通販は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3つで7割超を占めると推計されています(2024年、Nint(ニント)の推計、コマースピック)。ひとつのグループがAIから通販、決済までを持つ形には、なりにくいはずです。

ただし、中国型に近い動きもあります。LINEヤフーは2026年4月にAIエージェント「Agent i」を始め、欲しいものをメモするとYahoo!ショッピングの商品候補が示され、すぐに買えるようにしました(INTERNET Watch)。楽天も2026年1月に、楽天市場のアプリに、エージェント型のAI「Rakuten AI」を載せました(Web担当者Forum)。日本で中国型に近い動きが出るとしたら、自社で通販と決済を持つこの2社からだと思います。

企業の備え:AIが買い物を左右する場面への4つの準備

米国型に近いとしても、AIが買い物を左右する場面は増えていくはずです。LINEヤフーによると、Yahoo!ショッピングでは、AIエージェントを経由した注文金額が、2026年7月時点で全体の約2割に達しました(ネットショップ担当者フォーラム、くわしくはAgent iの記事)。注文まで自動で任せた数字とは限りませんが、AIで探して比べる段階で売れる商品が決まりはじめていることはうかがえます。

マーケティングの責任者として、いまのうちに備えておきたいことを4つ挙げます。

図7:AIが買い物を左右する場面に備える4つのこと

1. 商品データを、AIに渡せる形で整える
Googleは、Universal Commerce Protocolに合わせて、店がAIに渡せる商品情報の項目を増やしています(TechCrunch)。価格・在庫・仕様・保証などが、AIに読み取れる形で正確に出ているか。日本に同じ仕組みが来たときに、すぐ対応できるようにしておきます。

2. どの条件で比べられたら勝てるかを、言葉にする
AIは、予算や用途といった条件で候補を絞り込みます。36Krのテストでも、相談は「予算8,000元で、子どもを撮るカメラ」のように、予算と用途を条件にしていました。自社の商品は、どんな条件で比べられたときに選ばれるのか。それをはっきりさせておきます。

3. 自社サイトを通らない買い物を、測る
AIの中で比べられ、AIや通販サイトの中でそのまま買われると、自社サイトのアクセス解析には表れません。AIの答えに自社がどう出ているかや、AI経由の売り上げをどうつかむかを決めておきます。

4. AIの中の広告に、頼りすぎない
OpenAIは2026年1月に、米国でChatGPTに広告を出すテストを始めると発表しました(Bloomberg Law)。一方で、Quad・The Harris Pollの調査では、75%が、ブランドがお金でAIに影響を与えていると知ったら信頼が下がると答えていました。日本の消費者委員会でも、推薦の中立性が論点になっています。広告で露出を買うか、正直な情報で選ばれるか。その兼ね合いを、いまから考えておきたいところです。

AIの答えに名前が挙がる会社の条件と、何から始めるかは資料にまとめています。

調査の概要:中国語・英語・日本語の、30件の資料を確認

項目内容
言語中国語・英語・日本語
資料の数30件(本文で出典として示したもの)
資料の種類日本と中国の政府や公的機関の資料・企業の発表・日本・中国・米国・欧州の報道・業界の分析
確かめ方数字は、できる限り一次資料で確かめた。報道や企業の発表だけによるものは、本文でその旨を示した
情報の時点2026年10月18日

アースダイバーでは、海外の市場調査など、戦略づくりのための調査業務を承っています(ご相談はこちら)。

数字の読み方:3つの注意点

1. 上海の調査は、中国全体の数字ではない
回答者は、AIに触れる機会が多い上海の人が中心と考えられます。

2. 「試した」の範囲がわからない
何回使えば「試した」になるのかは公表されていません。日常的に使っている人の割合とは限りません。

3. 利用者数は、発表元によって数え方が違う
中国互聯網絡信息中心は、アプリに限らず生成AIを使う人を7億人超と推計しています(新浪)。アリババも、千問アプリの月間利用者を「3億人超」としていますが、何を数えたかの説明はありません(鈦媒体)。時期も範囲も違うので、QuestMobileの数字とは単純には比べられません。

まとめ:日本はゆっくり進む。とはいえ、備えはいまから

2026年の中国では、ネット大手が自社のAIと通販をつなぎ、AIでの買い物が広く試されています。上海の調査では8割超が試した一方で、AIが正確に選べていると答えたのは16%にとどまりました。早く試された背景には、AIと通販と決済が同じグループでつながっていることと、大きな販促費があると私は考えています。そして2026年4月以降、上海の消費者団体などから、AIの推薦が利用者のためのものかどうかが問われはじめています。

米国では、AIの会社も買う場所も分かれています。日本には、買い物に慎重な消費者・消費者を守るルール・分かれた通販の場があります。そのため、米国型に近い形でゆっくり進むと私は見ています。

とはいえ、AIが買い物を左右する場面は増えていくはずです。商品データを整える。勝てる条件を言葉にする。自社サイトを通らない買い物を測る。広告に頼りすぎない。この4つは、いまのうちに準備しておきたいところです。

よくある質問:中国の生成AIと日本への影響

Q. 中国の生成AIで、いちばん使われているのはどれですか?
QuestMobileの調査では、2026年6月時点で、バイトダンスの豆包が月間3.82億人でいちばん多く、アリババの千問(1.67億人)、DeepSeek(1.30億人)、テンセントの元宝(0.50億人)が続きます。

Q. 中国のAIでの買い物は、米国とどう違うのですか?
中国では、AIと通販と決済が同じグループの中でつながっていて、AIが注文から支払いまでを終えられます。米国を含む欧米では、購入の手続き・決済・配送が別々のアプリやシステムで処理され、AIが購入までを一続きで終えにくいと指摘されています(The Next Web)。

Q. 日本でも、AIで買い物をする人は増えていますか?
Visaが2026年2月に発表した調査では、日本の消費者の51%がすでに買い物にAIを使っていると答えています(ネットショップ担当者フォーラム)。また、LINEヤフーによると、Yahoo!ショッピングでは、AIエージェントを経由した注文金額が、2026年7月時点で全体の約2割に達しています(ネットショップ担当者フォーラム)。一方で、Visaの2026年6月の調査では、AIで買い物をしていない人のうち、確認なしの自動購入まで任せられる人は1%でした。

Q. 日本も、中国のようにAIでの買い物が進みますか?
私は、米国型に近い形で、ゆっくり進むと見ています。日本の消費者は買い物に慎重で、消費者を守るルールもあり、通販の場も楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどに分かれているためです。

参考:INTERNET Watch/上観新聞/China Innovation Watch/Hello China Tech/観点網/鈦媒体/アリババ/数英/虎嗅/21世紀経済報道/站長之家/36Kr/三菱UFJリサーチ&コンサルティング/新浪/上観新聞/文匯報/Stellagent/The Next Web/TechCrunch/TechCrunch/PYMNTS/Quad・The Harris Poll/ネットショップ担当者フォーラム/消費者庁/消費者委員会/コマースピック/INTERNET Watch/Web担当者Forum/ネットショップ担当者フォーラム/Bloomberg Law

佐藤 大貴 WRITTEN BY佐藤 大貴アースダイバー株式会社 代表取締役DeNAで男性向けライフスタイルメディアの立ち上げを牽引し、ローンチから約1年半で月間3,000万PV規模に。ポートではコンテンツマーケティング責任者として幅広い領域のメディアを管掌し、上場とM&Aを経験。2019年に創業し、AI時代のマーケティング戦略とその実行を手がける。プロフィールを見る →LinkedIn
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