- 指名検索とは、社名やサービス名を含めた検索。社名を知った人が、選ぶ前に確かめに来るときの検索
- 2026年のいま、社名を知ってもらう場所はAIの答えに移りつつある。指名検索は、AIの影響を数字で確かめられる数少ない場所
- 増やす方法は5つ。「〇〇といえば」の言葉、知られた名前との結びつき、対象を絞った接触、第三者の場所、検索してもらう名前。支援先の塾では「塾名+大手塾名」が1年で約3倍に
こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。AIが広がって、ウェブマーケティングは取るべき戦略も、実行のやり方も変わりました。アースダイバーは、その新しい前提で戦略を考え、実行する仕組みまでつくる会社です(ご相談はこちら)。
前回の記事では、AIO対策の成果を測る指標のひとつとして「指名検索の数」を挙げました。今回は、この指名検索について考えてみます。
指名検索は、新しい言葉ではありません。社名で検索される数は、昔からブランドの認知を測る指標として使われてきました。ただ、2026年のいま、その意味が変わってきています。AI OverviewsやAIモード、ChatGPTで調べものが済むようになり、検索の役割そのものが変わったからです。
AIの答えで名前を見かけた人の多くは、その場ではクリックしません。でも、気になれば、あとで社名を検索して確かめに来ます。指名検索は、AIの影響を数字で確かめられる、数少ない場所です。 2026年のいま、指名検索をどう捉えて、どう増やすのか。海外の議論と、弊社の支援先の実例をもとに、改めて考えてみたいと思います。
目次
指名検索とは
指名検索とは、社名やサービス名、ブランド名を含めて検索することです。「アースダイバー」「〇〇(サービス名) 料金」のような検索がこれにあたります。反対に、社名を含まない「BtoBマーケティング 支援会社」のような検索は、非指名検索や一般検索と呼ばれます。
ふたつの違いは、検索する人がどの段階にいるかです。非指名検索は、まだ社名を知らない人が候補を探すときの検索。指名検索は、社名を知った人が確かめるときの検索です。

指名検索の中にも、社名だけの検索や、「社名 評判」「社名 料金」のような選ぶ前に確かめるための検索など、いくつか種類があります。分け方は、後半の「調べ方」で紹介します。
2026年、サイトへの入口は指名検索に寄ってきた
これまでの検索では、非指名検索で見つけてもらい、サイトに来てもらうことが、社名を知ってもらう主な道でした。指名検索は、その結果として増えるものでした。
いまは、ここが変わっています。非指名の調べものは、AIの答えで済むことが増えました。社名を知ってもらう場所がAIの答えに移り、サイトに来てもらえるのは、あとで社名を検索してもらえたときになっています。検索は、調べる場所から、確かめる場所に寄ってきているわけです。

この変化を裏づける数字が、国内外でいくつも出ています。

買い手の候補は、売り手に連絡する前に決まっている
ひとつ目は、買い手が候補を絞るのが、売り手に連絡する前になったことです。
BtoBの購買担当者を調べた6senseの2025年の調査では、94%の買い手が、売り手に連絡する前に候補の順位を決めていました。そして、最終的に選ばれたのは、77%が最初から候補の1位にしていた会社でした(6sense調査の紹介記事)。
その候補選びに、AIが入ってきています。Responsiveの2025年10月の調査では、購買担当者の4分の1で、生成AIの利用が従来の検索を上回りました(Responsive)。同社のCEOは、こう話しています。
いまは、AIが誰を候補に入れるかを決めている。AI now determines who makes it onto the shortlist.— Responsive CEO、2025年10月
AIで社名を見かけた人は、その場でクリックせず、あとで検索する
ふたつ目は、AIの影響がその場のクリックに出てこないことです。AIの答えで名前を見かけても、その場でサイトに来るとは限りません。SEOコンサルタントのAleyda Solis氏は、こう書いています。
影響はクリックなしで起きる。だから、流入数と売上だけでは、AI検索の指標や目標にならない。Influence happens without a click, this is why traffic and revenue alone fail as AI search KPIs and goals.— Aleyda Solis(SEOコンサルタント)、2026年6月の講演資料より
Aleyda Solis氏は、指名検索を週ごと、月ごとに追うことをすすめています(講演資料)。実際、AIにすすめられた知らないブランドについて、米国の消費者の45%が購入前にすぐGoogleで検索すると答えたという調査があります(Idea Grove/Pollfish調べ)。日本でも、AI Overviewsで紹介された企業や商品をあとで検索したことがある人は46.1%でした(ナイル調べ/Web担当者Forum)。
社名を含む検索では、AI Overviewsが出にくい
みっつ目は、社名を含む検索ではAI Overviewsが表示されにくいことです。Ahrefsの調査では、その割合は13.1%で、社名を含まない検索の24.9%のほぼ半分でした(Ahrefs)。社名で検索する人の多くは、その会社のサイトを見に来ています。AIの要約で済ませず、クリックしてくれやすい検索です。
AIで名前が挙がっても、覚えられなければ指名検索は増えない
ここまで見てきたように、AIの答えは、買い手が候補を絞る段階に入ってきています。海外のSEOの専門家も、AI検索ではブランドとして見えていることを重視しています。iPullRankのMike King氏は、AI検索について「いちばん大事なのは、ブランドとして見えていること」と話しています(Advanced Web Ranking)。『Product-Led SEO』の著者Eli Schwartz氏は、もっと短く言い切っています。
LLMでの見え方は、ブランドの指標だ。LLM visibility is a brand metric.— Eli Schwartz(『Product-Led SEO』著者)、2026年2月
ただし、AIの答えで名前が挙がるだけでは、足りません。
Seer InteractiveのWil Reynolds氏は、AIでの見え方が伸びているのに指名検索が増えていない状態を、こう表現しています(Seer Interactive)。
見えてはいる。でも、記憶に残っているとは言いにくい。We're visible, but it might be hard to say we are memorable.— Wil Reynolds(Seer Interactive CEO)、2026年1月
AIの答えで名前を見かけても、覚えてもらえなければ、あとで社名を検索してはもらえません。指名検索は、見かけたことが記憶に残ったかどうかを示す数字です。AIでの見え方と指名検索を組み合わせると、いまの状態が読めます。

AIで見えていて、指名検索も増えている。これが理想の状態です。AIで見えているのに指名検索が増えないなら、覚えてもらえていない。見え方は弱いのに指名検索が増えているなら、AI以外のチャネルが効いている。両方とも伸びていないなら、そもそも知られていない。図の矢印のように、知られていない状態から理想の状態へは、見かけてもらうことと、覚えてもらうことの2段階で進みます。理想の状態まで来たら、確かめに来た人を取りこぼさないことが大事になります。
AIの答えに名前が挙がり、覚えてもらえる会社には、どんな条件があるのか。ホワイトペーパーにまとめています。
指名検索は、「見かける・覚える・検索する」の3段階で生まれる
では、指名検索はどこから生まれるのか。社名で検索する人は、その前にどこかで社名に触れています。

入口は、AIの答え、比較サイトや口コミ、業界メディア、YouTubeやSNS、ウェビナー、人づての紹介、広告とさまざまです。このどこかで社名に触れ、「〇〇といえば、この会社」と覚えた人が、必要になったときに社名で検索してきます。
指名検索を生むには、触れる回数と、覚えてもらう言葉の両方が要ります。何度も見かけても、何の会社なのかが残らなければ検索されません。逆に、一度で覚えてもらえる言葉があれば、少ない接点でも検索されます。
見かける、覚える、検索する。指名検索は、この3つの段階を通って生まれます。
指名検索を増やす5つの方法
増やす方法も、「見かける」「覚える」「検索する」のどこに効くかで整理できます。弊社が支援先で進めている方法を、5つに分けて紹介します。図4の「知られていない」状態なら方法3と4から、「覚えられていない」状態なら方法1と2から始めます。

方法1:「〇〇といえば、この会社」のひと言を決める
最初にやるのは、何の会社なのかを、ひと言で言える言葉を決めることです。これが決まっていないと、何度見かけてもらっても記憶に残りません。
言葉は、分野と、誰のための会社かを組み合わせると決めやすくなります。

決めるときは、次の順番で進めます。
- 買い手が使っている言葉を集める。商談で顧客が口にした言葉、問い合わせフォームの文面、非指名検索のキーワードなど
- その中から、自社がいちばん強い「分野と対象」の組み合わせを選ぶ
- サイトのトップ、会社概要、資料の1枚目、動画の冒頭で、同じ言葉を使う
決めたあとは、ChatGPTなどに「〇〇(分野)でおすすめの会社は?」「〇〇株式会社はどんな会社?」と聞いてみてください。自社が決めた言葉に近い説明が返ってくれば、言葉が外にも届きはじめています。
方法2:買い手が知っている名前と、自社を結びつける
まだ知られていない会社の名前は、それだけでは覚えにくいものです。そこで、買い手がすでに知っている名前と、自社を結びつけます。業界の大手、定番のツール、よく知られた資格や制度などです。

たとえば、「〇〇(定番ツール)を使っている会社向けの△△」「〇〇から乗り換えるときの注意点」といったテーマで発信します。続けると、「社名+定番ツール名」のような組み合わせの指名検索が生まれます。あとで紹介する塾の例で伸びたのも、この組み合わせです。
大手や定番の名前を出すときも、悪く言う必要はありません。誰の、どんな場面で役に立つのかがはっきりすれば十分です。
方法3:対象を絞って、同じ人に何度も届ける
覚えてもらうには、同じ人に何度も触れてもらう必要があります。限られた予算で回数を増やすために、届ける相手を絞ります。同じ本数の発信でも、相手を絞れば、ひとりあたりの接触は増えます。

進め方は、次のとおりです。
- 覚えてもらう相手を、業種、役職、状況まで絞って決める
- その人たちが見ている場所を2〜3つ選ぶ。YouTube、SNS、自社のウェビナー、メールマガジンなど
- 選んだ場所で、方法1の言葉を使って発信を続ける
- 広告も、その人たちに繰り返し届くように配信する。その場の申し込みだけで評価せず、指名検索の推移もあわせて見る
方法4:第三者の場所で、社名を出してもらう
自社のサイトや発信だけでは、触れてもらえる人数に限りがあります。比較サイト、口コミ、業界メディア、ほかの会社のウェビナーなど、第三者の場所で社名が出ると、まだ自社を知らない人にも届きます。
これは、AIの答えにも効きます。Ahrefsが7万5,000のブランドを調べたところ、AI Overviewsへの登場といちばん相関が高かったのは、ウェブ上で社名が言及された量(0.664)でした。指名検索の量との相関も0.392あり、AIで見かけてもらうことと社名で検索されることは結びついています(Ahrefs)。
やることは、たとえば次のようなものです。
- 比較サイトやレビューサイトに登録し、情報を最新に保つ
- 顧客に、導入事例や口コミへの協力をお願いする
- 業界メディアへの寄稿、イベントへの登壇、他社との共催ウェビナー
AIに読まれる場所の整え方は、AIO対策の記事で詳しく書いています。
方法5:調査や無料ツールに名前をつけ、検索のきっかけをつくる
最後は、検索のきっかけをつくることです。独自の調査、診断、無料ツールなどに名前をつけて出すと、その名前で検索されるようになります。調査の数字は、第三者やAIに社名ごと引用されることもあります。
動画、登壇、資料の最後で「〇〇で検索してください」と、検索する言葉をそのまま伝えるのも手軽な方法です。URLより覚えやすく、そのまま指名検索になります。
実例:中学受験の個別指導塾で、「塾名+大手塾名」の指名検索が約3倍に
弊社が支援している、中学受験の個別指導塾の例を紹介します。この塾の強みは、大手の集団塾に通う生徒のフォローです。そこで、大手塾に通う中学受験生と保護者に向けて、YouTubeの動画を中心に、記事や広告も使って発信を続けてきました。方法2と方法3にあたります。

Search Consoleで見ると、塾名を含む指名検索のクリック数は、2025年4〜6月の月平均264から、2026年4〜6月には572へ、約2.2倍に増えました。とくに伸びたのが、「塾名+大手塾名」という組み合わせの検索です。同じ期間に月平均55から168へ、約3倍になっています。この組み合わせのCTRは8割を超えていて、検索結果を見た人の8割以上が、この塾のサイトをクリックしています。
「大手塾のフォローといえば、この塾」と、よく知られた名前と結びついて覚えてもらえてきたことが、この組み合わせに表れていると考えています。
正直に言うと、この塾には、もともと指名検索を伸ばしやすい条件がそろっていた面もあります。対象は「大手塾に通う中学受験生と保護者」と、とても限られています。対象が絞られていると、動画も記事も広告も、少ない本数で同じ人たちに何度も届きます。一例ではありますが、対象を絞れる会社は、指名検索を伸ばしやすいと考えています。
指名検索で来た人を、取りこぼさない
指名検索を増やしても、来た人を取りこぼしては意味がありません。確かめに来た人が見たいのは、料金、事例、評判、ほかとの違いです。指名検索で来た人は、もう選ぶ段階にいます。 そこで見るページの出来が、問い合わせにつながるかどうかを左右します。
社名で検索したとき、検索結果に何が表示されているか。一度、自分で確かめてみてください。

確かめるのは、次のような点です。AI Overviewsで、正しく説明されているか。公式サイトが上に出ていて、料金や事例のページにすぐたどり着けるか。口コミは古くないか。求人サイトや比較サイトが、公式サイトより上を占めていないか。あわせて、ChatGPTに社名を聞いたときの説明も確かめておきます。
先ほどの塾でも、「塾名 口コミ」という検索は136回表示されていたのに、公式サイトは平均7.8位で、クリックは0でした。口コミを確かめに来た人に、公式の情報が届いていなかったのです。合格体験記や塾生の声を、口コミを探す人が見つけられる形に整えることが、次の打ち手だと考えています。
指名検索の調べ方と、成果の測り方
指名検索の数は、Googleの無料ツールで確かめられます。
いちばん手軽なのは、Search Consoleです。2025年11月に、検索キーワードを「指名」と「指名以外」に分けて見られる機能が加わりました(Google)。社名、ドメイン、自社固有の製品やサービスの名前を含む検索が、指名として分けられます。表記ゆれも含まれます。ただし、表示回数が少ないサイトでは使えず、判定がずれることもあると説明されています(Google)。この機能が使えない場合は、検索キーワードを社名で絞り込めば、同じように見られます。
見るときは、合計の数だけでなく、どんな言葉と組み合わせて検索されているかを分けて見るのがおすすめです。

社名だけの検索。社名とサービス名。社名と「評判」「料金」「口コミ」のような、確かめるための言葉。そして、社名と分野や比較相手の組み合わせです。とくに最後の組み合わせは、「この分野といえば、この会社」と覚えてもらえているかを表します。
社名が一般的な言葉と重なっている場合は、注意が必要です。社名だけの検索には、別の意味で調べている人が混ざります。その場合は、社名とサービス名、社名と地名のような組み合わせを中心に見るほうが、実態に近くなります。
指名検索の成果は、AIでの見え方や問い合わせの数と並べて見る
指名検索の数は、単独で見るより、ほかの数字と並べて見るほうが役に立ちます。
- AIの答えで社名が挙がる割合:見かけてもらえているか
- 指名検索の数と、組み合わせの内訳:覚えてもらえているか
- 指名検索からの問い合わせ・商談:選ばれているか
- 問い合わせフォームの「何で知りましたか」:どこで社名に触れたか
最初のふたつで、図4のどの状態にいるかがわかります。残りのふたつで、問い合わせにつながっているか、どこで社名に触れたかがわかります。AIの答えで社名が挙がる割合は、決まった質問をChatGPTなどに毎月聞いて、社名が出た回数を数えるだけでも追えます。質問の選び方は、AIO対策の記事で詳しく書いています。指名検索は、施策を打ってから増えるまでに時間がかかる指標です。数か月単位で、推移を見るのがおすすめです。
AIの答えの中で、自社の名前がどう出ているかも、指名検索の入口を知る手がかりになります。確かめ方は、AI検索診断のご案内にまとめています。
まとめ
2026年のいま、非指名の調べものはAIで済むようになり、検索は社名を確かめる場所になってきています。その入口が、指名検索です。昔からある指標ですが、AIの影響を数字で確かめられる場所として、改めて見直したい指標です。見かけてもらい、覚えてもらい、確かめに来た人を取りこぼさない。指名検索を増やすというのは、この3つをつなげていくことだと思います。
よくある質問
Q. 指名検索と非指名検索、どちらを優先すべきですか?
どちらかだけを選ぶものではありません。非指名検索は、まだ社名を知らない人に見つけてもらう検索です。指名検索は、社名を知った人が確かめに来る検索です。非指名の調べものがAIの答えで終わる場面(ゼロクリック検索)が増えたので、指名検索の比重が大きくなっています。
Q. 指名検索の数が少なく、Search Consoleの指名フィルタが使えません。
検索キーワードを社名で絞り込み、四半期ごとにまとめて見てください。数が少ないうちは、増えたか減ったかより、どんな言葉と組み合わせて検索されているかのほうが手がかりになります。
Q. 社名で検索しても、自社のサイトが上に出てきません。
サイトが新しい、公式サイトより比較サイトや求人サイトが強い、といった理由が考えられます。まず、会社概要やサービスのページに社名をはっきり書き、Search Consoleで社名の検索での順位を確かめてください。社名とサービス名を組み合わせた検索で上に出られるようにするのが、現実的な第一歩です。
参考:6sense調査の紹介記事(2025年)/Responsive「Buyer Intelligence 2025」(2025年10月)/Aleyda Solis「Growing Your Brand in AI Search」(2026年6月)/Idea Grove/Pollfish調査の報道(2026年4月)/ナイル調べ(2026年1月)/Ahrefs「AI Overview triggers」(2025年11月)/Ahrefs(2025年5月)/Mike King(Advanced Web Ranking、2025年7月)/Eli Schwartz(97th Floor、2026年2月)/Wil Reynolds(Seer Interactive、2026年1月)/Google「Introducing the branded queries filter in Search Console」(2025年11月)/Search Console ヘルプ(指名クエリ)


